株式会社オーガニックジャパン
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食・農・環境情報

残留農薬とポジティブリスト制度に関して民間企業の農業参入
我が国の市場経済とオーガニックマーケットと食料自給率についての考察
《 この数年の市場経済の状況 》
1990年のバブル崩壊後、デフレ不況で食品の消費者購入価は下落の一歩を辿っている。
2002年度は、全ての食品が2000年度に比べ1%の価格下落で推移し、その後も進行中である。中でも品目別にみると生鮮野菜や果物は、輸入急増も影響して下落幅が大きい。
2004年より中国特需で一部の産業で景気回復がみられた。また、金融機関の不良債権処理も進み、大企業のリストラと不採算事業の整理などで日本経済全般では回復基調となる。
しかしながら個人所得は、格差の拡大と共に多くの生活者の収入は減少傾向にある。『年収300万円で、どうやって豊かな生活をおくるか・・・』が話題となり書籍販売も好調である。
また、TVでは、『月間10万円以内で生活する田舎暮らし』が話題となる。 そのような現象で市場経済は、ますます価格競争にさらされている。いまでは、良いものをどれだけ低価格で販売できるかが、勝負の決め手となっている。
我が国の、月間食品消費額は世帯当たり、1992年の82,381円をピークに減少傾向にあり、1999年では76,590円となった。2004年では、既に5万円台になりしかもエンゲル係数は上がっていると想定される。それに加えてカルフールやウォールマート、メトロ、テスコなど海外からの量販店進出で流通・小売業界のグローバル化が始まっている。

《 オーガニック市場の概況 》
前記の経済状況で、オーガニック業界も影響を免れず、大きな揺らぎの中で再編成を即されざるを得なくなった。
振り返ると1970年代頃から、共同購入、生協から宅配。引き売りから自然食品店へと販売形態が変わるも「どこで」「誰が」「どのようにして作ったか」・・・ ”顔の見える関係”をテーマ に有機無農薬栽培の農産物が独自流通されて、専門店チェーンの「ナチョラルハウス」「F&F」「マザーズ」「こだわりや」などが展開された。
しかしながらそれらも、ここ数年苦戦を余儀なくされ、テナント出店、イン・ストアーの出店共に店舗展開は低迷しており、不採算店舗の閉店も余儀なくされている。そろそろ限界か・・・ いまでは、有機農産物も一般化し、一部スーパーマーケット等でも購入可能となった。
また、ファミリーレストランのすかいらーくG、デニーズジャパーン。ファーストフードのモスフード、コンビ二や居酒屋チェーン大庄、すずめのおやど、ワタミフード、モンテローザ、 平成フードなどが有機食材を導入した。さらに弁当のオリジン、食材宅配のヨシケイGにも広がった。
その結果、量販店でもJAS有機農産物が販売され、宅配は生協の個人宅配に及ばず、自然食品店は淘汰がすすみ、売上の停滞・減少が続き、廃業に追い込まれている。推計では、凡そ 現在営業中の自然食品店の80%は淘汰されると考えられる。
このように、始めに有機農産物や無添加加工品の販売マーケットを開拓してきた人々はその役割を終えようとしている。では、新たなマーケットは『誰が』『どのようにして』創出するのか・・・

《 海外事情と我が国の農政 》
ドイツでは、シュタイナーが提唱した「バイオダイナミック農法」を継承したデメター農法協会とビオランド加盟の農家が加工・販売と一環した流通を構築している。
もともとEU諸国では、伝統的に生産農家自らがワインやチーズ、ハム&ソーセージなどを加工して農産物と共に市場等に自分で販売してきた歴史的スタンスがあり、我が国とは、だいぶ農家の意識が異なると考えられる。
2001年度現在、我が国の全就業人口は約6,750万人、農業就農人口は、2003年で約375万人、5,6%。さらに農業専従者は174万人で2,6%に過ぎない。
2000年度のGDPは、513兆5,340億円、そのうち農業生産は1,1%の5兆4,740億円と僅かな生産力である。
一方、農水省の食料自給率向上政策は、
@企業による農業経営 ⇒ 農業特区、法律の改正
A専業農家の規模拡大
B農家への直接補助金の支給を目指している。
@は、広域農地での企業栽培と農業の革新技術(ロックウール栽培や液肥栽培)で農産物の工業製品化が始まり、個人農家レベルでは参入できない高額投資となる。
また、Aは酪農を始めとする規模拡大先行投資の失敗やブロイラー産業同様に個人や生産グループ、組合では投資リスクが高くなり結局、経済的に生産農家は総合商社や肥料会社などの系列に 取り込まれての生き残りとなる。それは、農政の貧困による個人や小規模出荷生産グループの崩壊を招くことであろう。
また、@Aともにその業態は、技術的に生産性を追及するがゆえに自然の力に依存する率が高い有機栽培には適さない。
将来の安全性を求める農業は、「土壌と自然環境との共生で生産される農産物」と新技術によるコンピューター管理の「液肥栽培等」に求めざるを得ず、後者は、畜産同様にコスト低減大量 生産形の工業生産化された農業とならざるを得ない。 以上のことからも土壌本来の地力を生かす有機栽培で生産された農産物の経済を確立存続させる流通システムは、経済優先の農業とは異なる意味で社会的機能としての"ニーズを有している。“と考える。 しかも我が国のアグリビジネスは、規模がダウンサイジングしており、農村の少子高齢化で就業人口が激減している。そのため耕作放棄地は中山間地だけではなく、全国的なものとなって いる。これは、農地が潤沢であると云う意味では重要な要素でもある。
また、農産物自由化が国内外で高まるも、海外有機農産物を含め、我が国の農産物が自由競争で打ち勝てるとは考えられず、返って壊滅的なダメージを受けると考えられる。 自給率を引下げた要因そのものが輸入食品との価格差にあるからである。

《 都市住民の農業に対する意識 》
一方この数年、首都圏から近い長野県の八ヶ岳山麓や那須高原で、藤本敏夫氏の云わゆる”農的生活”を過ごす人々が多く現れ、2007年問題以降は更に加速される現象となり、数年後には 団塊世代が高齢化するに従い、ますます増加するものと考えられる。 全国の生産農家は、エコファーマーに、前記のような農的生活を楽しむ人は、藤本氏の造語で"表現すれば、ウェルネスファーマーとなって、趣味の園芸や家庭菜園、セミプロ農家とそれぞれ のライフワクの範疇で、都市住民も農業や農村を維持すると云う意識育成の動きは、これからの"農業に明るい未来を垣間見る指針ではないだろうか・・・"
都市住民の農業への関心(1999年、マッキャン博報堂 生活総合研究所)
@体験的な農作業  63%
A農業の手伝い   57%
B子供に農作業体験 81%
都市住民が農的生活を行えば、そのような人々が農産物のリーズナブルプライスは、どこにあるのかを自ずと策定してくれるだろう。
19世紀半ばにドイツでは、都市工場労働者の健康を守る目的で、クラインガルテンが生まれた。それはまた、都市の子供たちが自然と触れ合うトポスとしての役割を果たした。いまでは、 ドイツ国内で消費される野菜の50%がクラインガルテンで生産されている。
我が国の全世帯数は、4,600万世帯。農家世帯は其のうち303万戸、したがって非農家は4,300戸、その1/4の1,000戸が家庭菜園や市民農園或いはベランダ菜園で野菜の生産をし、地方自治 体などが休耕地を市民農園、週末農業地として貸与し、1世帯あたり年間100〜150kgの農産物を生産すると凡そ100万〜150万トンの野菜が生産され、それは2000年の国内野菜生産量の約10%弱 の生産量となる。
その経済効果は、国内食品消費は約70兆円、そのうち農産物は12兆円。この10%とすると粗1兆2千億円となる。
人間本来の安定(メンタルでもウェルネスでも)を取り戻すために、農的生活を実施できるインフラを用意することが重要である。
加藤登紀子氏は、著書「藤本敏夫からの遺言 農的幸福論」で、”彼の未来へのビジョンは、30年以上、追求されつづけていたのもであった・・・ ”と述べ、農水省に具体的なプランを 提出したと述べている。
既に、農水省や県レベルでの農家に対するエコファーマー認証が進められている。また、町村レベルでは、ウェルネスファーマー育成の試みが始まっている。
先に述べたワタミグループのワタミファームでは、農業特区を活用して農場経営を拡大している。 都市住人が、ベランダや貸し農園で家庭菜園を始めるだけで、我が国の農産物自給率UPを図ることはどうであろう。一人ひとりがチャレンジするだけの価値があると思うが貴方はどう考えますか。


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